午睡は香を纏いて
「カサネ、だけど。あ、と、ユーマって言わなくちゃダメだったよね」


車輪の音で隠すように小さな声で言うと、セルファが肩で大きく息を吐いた。


「カサネ、か。わかった」

「どうかしたの、セルファ?」

「いや……、それは後でカインから聞いて。
じゃあカサネ、落ち着いて聞いてほしい。オレたちは神武団に捕まった。オレたちが乗っているこれは罪人を乗せる引き車で、今神殿に向かってる」


どくんと心臓が跳ねて、息を飲んだ。捕まった……? 


「ど、どうしてそんなことに?」

「カサネが倒れたことで、子爵が王宮に使いを出しちゃったんだ。国賓が急病だ、ってさ。もちろんそんな巫女姫は実在しない。それで、身分詐称がバレた」


聞けば、あたしは二日近く眠り続けていたのらしい。
カインがどんな薬を使っても、術を使っても反応せず、死んだように眠っていたのだ、とセルファは言った。


その頃ブランカでは、ヘヴェナ家にいる者たちは、サラのことを探っている、というところから、数年前にサラを殺害した山賊の一味ではないかという話になったようだ。
そして、山賊を捕らえるために、神武団が乗り込んできた。


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