午睡は香を纏いて
「カインもオレも、子爵の様子がおかしいことに気付けなかったんだ。情けないことに、君の具合が気になってそこまで気が回らなかった」


あっという間に、神武団に取り囲まれてしまった、とセルファは言った。


「邑に転送したかったんだけど、昏睡状態のカサネには危険だから、って見合わせてたんだ。
そしたらいきなり奴らが来てさ、もう捕まるしかなかった。

オレたちは応戦しようとしたんだけど、君を盾にとられてね……。
カインは対珠を取り上げられて、その場で破壊された」

「そんな……、あ!」


動かしにくい手をどうにか自分の首元に持っていく。


「ああ、カサネのも、砕かれた。万が一にも逃げ出さないように、ってことだろうね」


すっかり馴染んでいた小さな球体が、消え失せてしまっていた。
サラの対球が、壊された……。


「あ! そ、それでカインは?」


この場には、あたしとセルファしかいない。カインは一体どこにいるのだろう。


「カインは、神武団の奴らと同じ馬車に乗って行った。あいつは引き車に乗せられない身分らしいから」


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