午睡は香を纏いて
頭へのぐりぐりが止まって、レジィの顔を見上げた。
幾多の星の淡い光に照らされたその顔は、すごく嬉しそうだった。


ああ、大切な人を語る顔だ、これは。


「レジィって、サラのことが好きなの?」


思ったことが、ぽろりと口から零れた。
うわ、言っちゃった! とこちらが焦ったのに、レジィはそれに何のてらいもなく、あっさり答えた。


「ああ。俺の唯一無二の女だ」


呼吸をするのを、一瞬忘れた。
自分の気持ちに嘘をつかないんだ、この人は。


「なんてな。ちょっとかっこいいこと言ったか、俺」


遠く、多分サラの姿を追っていた瞳が、あたしに向けられた。
少し照れたように笑う。


「いや、その、そういうの、いいと思うよ?」


想いを恥じることなく口に出来るのって、いいと思う。
レジィのサラへの真っ直ぐな気持ちに対して、素直に答えた。


「そか? ありがとな」


ぐりぐり、と手があたしの頭を再び揺らす。


「ほら、首痛いだろ。前向け」

「うん」


大きな手の平で、くり、と前を向かされた。
ふ、と見れば、手綱を握る逞しい腕が近い。
背中に感じる体は大きくて、あたしをすっぽり包んでしまっている。

こんなレジィを一睨みで竦ませて、蹴倒すサラ。
その人に益々興味が湧いてくる。
何より、『唯一無二』なんて言われるくらい想われているなんて、すごいよね。



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