金星
きっかけは些細なことだった。

「はじめは学校サボって2人でいることにドキドキしていたけど、

次第にこれでいいのかな? って不安になって」


『朋宏は大学行かなくていいの? そろそろ試験期間とかじゃないの?』


2人で、朋宏の部屋でコーヒーを飲んで、

朝ごはんを食べている中、あたしはそう言った。


『大丈夫だよ。別に行きたかった大学じゃないし。だから優奈、今日も一緒にいよ?』


『でも……あたし、そろそろ期末だし学校いかな……』

そう言った瞬間、あたしに向かって、

猛スピードでマグカップが飛んできた。


「……っ!?」


顔に当たらないように、体をすくめたため、腕でブロックできたが、

至近距離で投げられたためか、当たった腕がじんじんした。


幸いにも中にコーヒーが入っていなかったから良かったけど。
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