F.L―extra―
「適当に座れよ。…散らかってるけど」


連れてこられた高塚の部屋に、俺は衝撃を受けた…



ベッドの下には、ビール・焼酎・ワイン…

机に置かれた灰皿に、溢れんばかりのタバコの吸殻…



いい子ぶることだけが特技の高塚、なんていうのは俺の勘違いだ…

こいつ…相当な不良じゃんか…


「…あ、驚いた?学校じゃいい子だからね、俺。」


楽しそうに話す高塚の目を、まともに見ることが出来ない…


「誰だって多少の嘘はつくだろ、そんな驚くなよ。…ついでにバラすと、今日も俺、すげぇハッタリかましたしな」

「…ハッタリ?」

「そ。関と優美ちゃんの本番生写真?んなもん、俺が持ってるわけねぇじゃん。」


こいつ、なに言ってるんだよ…

写真がない…?

「…お前、携帯の画面出して見せてたじゃん」

「あぁ。あれ新作AVのジャケ写。『昼下がりの保健室』シリーズの」



高塚が持っていた写真…

あの写真が…

あの写真だけが、俺の無実をはらす武器だった…

それが…

AVのジャケ写って…



「…お前何考えてんだ。ふざけたことしやがって」

「関、言ったろ?『お前に何が分かるんだ』って。俺何も分かんなかったからさ、考えたわけ。で、考えたら俺、お前が優美ちゃん襲うような奴には思えなかった。…だから何とかしてやりたくて」



…昨日俺が、保健室から逃げす時に言った台詞。

高塚は、あんな捨て台詞みたいな言葉を気にかけていた、のか…?



「…それで、偽物を?」

「もうね、正直さっきまで心臓バックバク。バレんじゃねぇかって、超焦った!!」








こいつは、馬鹿だ…


俺みたいな奴の些細な言葉を気にして…


ロクに話したこともないくせに、俺が“優美ちゃん”襲うような奴じゃないとか決めつけて…


確かな根拠なんか何一つないのに…


俺を、庇った…


偽物の証拠用意しちゃって、無駄に自分までリスク背負って…


そんなことまでして…


俺を、庇ってくれた…
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