甘い罠
「無いなぁ。でも、たまにはの~んびりしないと。」
「いや、のんびりし過ぎでしょ。っていうか、今はのんびりしている場合じゃ無いでしょ!」
まだビールが残っている瓶をお父さんから取りあげる。
「あぁ~。ビィールゥ。」
「駄目!早くご飯を食べてお風呂に入って寝る!分かった?」
「うぅ。分かったよぉ。」
お父さんは名残惜しそうにお酒を持った私の方をチラチラ見ながら
「お母さん~、ご飯作ってぇ。」
と机にもたれていた。
…本当、苦労する…。
ふぅ~。と息を一息吐き、こめかみを軽く押さえる。