大吉男と大凶女
「あの野郎……まだ寝てんな」

恭子に聞こえないような大きさの声で呟いた。

絶対未だにベットの中だぞ、アイツ。俺はもう一度晴紀に電話をかけた。

「出ないの?」
「あぁ、アイツまだ寝てると思われる」
「えぇ!もぅ一時だよ?」
「時間にルーズなんだ、晴紀は」

俺だけだったらまだしも恭子も居るってのに。晴紀らしいといえば晴紀らしいが……。

再びコール音が耳に流れる。そして再び留守電に繋が――ると思ったところで晴紀が出た。

「もしもし」
「…………」
「もしもし?」
「もう一時じゃないか!!」
「俺の台詞だ!!」
「わりぃ!!今すぐ行くから言い訳はあとで聞いてくれ!!」

そう言い残し、俺に言い返す間も与えずに晴紀は電話を終了させた。

「はぁ……」

俺はため息をついて携帯をポケットにしまった。恭子を見ると、同じように恭子も電話をかけていた。

とりあえずすることの無くなった俺は何の用も無く、携帯をいじることにしたが、間もなく恭子の電話が終わり、結局また携帯をポケットにしまった。

「未奈美ちゃんも少し遅れるってさ〜」

恭子の言葉を聞いてハッとした。
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