苦しみの(涙)
「菜舞露から離れろ…。」
静かにさとすように言う兄者は、刃を…龍轍に向けた。
今の私は後ろから抱き締められているから、兄者の刃は私の頭の上をさしてある。
「そう易易と手放したりしない。やっと見つけた妹を……。」
妹?
「菜舞露は、俺の妹だ。誰にも渡さない!」
「誰にも渡さないっか……。
そのために屋敷の人間すべて殺したのか?お前に殺される瞬間のやつらの顔が思い浮かぶよ。
哀れなやつらだ。」
「あんたがあんな交渉をしなければよかったんだ。」
「あくまでも、俺のせいか。」
龍轍も腰にさしていた刀を抜いた。