苦しみの(涙)



「菜舞露から離れろ…。」



静かにさとすように言う兄者は、刃を…龍轍に向けた。


今の私は後ろから抱き締められているから、兄者の刃は私の頭の上をさしてある。




「そう易易と手放したりしない。やっと見つけた妹を……。」



妹?



「菜舞露は、俺の妹だ。誰にも渡さない!」


「誰にも渡さないっか……。
そのために屋敷の人間すべて殺したのか?お前に殺される瞬間のやつらの顔が思い浮かぶよ。
哀れなやつらだ。」

「あんたがあんな交渉をしなければよかったんだ。」


「あくまでも、俺のせいか。」



龍轍も腰にさしていた刀を抜いた。












< 47 / 152 >

この作品をシェア

pagetop