Blood smell 2
教皇そして皇帝は
そろって目を見開き驚きを浮かべる


その姿は
おかしくて
少し気分が晴れた



「…何故だ?
お前は生きることよりも
死を望むのか?」


「はい。
私は…最後まで人間でいたい。

彼を好きになって
愛した気持ちを持ったまま死にたい。」



皇帝の言葉に
迷いなく答える


「お待ちください!」


その時
その場に声が響いた


そして
ダンが歩み出て
私の隣に跪く



「呼んだ覚えはないぞダン?」

「勝手な事をして申し訳ありません。
ですが
この者に今一度考える時間をお与えください。」


ダンはそう言って私に振り返る


「シュルドは
お前に生きてほしいと…
お前が生きることを望んでる。」


「え?修二が?」


「自分の命と引き換えに
お前を助けてほしいと言っていた。

条件はどうあれ
生きられるのであれば
生きろ…。

アイツの為に…。」


初めて
ダンの必死な顔を見た


いつも無表情だったり
怒りに満ちていたり
見下していたり
そんな顔ばっかりだったのに


始めてみたダンの真剣な顔は
不覚にもカッコイイと思えた
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