魔法学園ユートピア
中庭、摩天楼近く


「幸大!」

「お兄さん!」

二月姉妹が駆け寄る。

「どうした?」

「私達、またラブレターをもらいました!」

奈都が見せる。

「私もよ。」


「どんな奴なんだ?」



「そうね…

二人とも、顔はイケメン。

家は金持ち。

容姿、家柄の両方に文句なしって感じ。」

「性格も良いって評判なんです。」


「へぇ。

で、お前らはどうすんだ?」


「断ろうと思います。」

奈都が言う。

「私はとっくに断ったわよ。」

亜紀が言う。


「二人ともそーゆーのは真剣に考えたらどうだ?」

「…。

お兄さん、石動さんに実家に帰るように言ったんですよね?」

「ああ。

誰から聞いた?」

「石動さんから直接です。

でも、お兄さんが理由もなくそんな意地悪なこと、するはずがありません。」

奈都が真剣な眼で見つめる。


「幸大。

幸大とは付き合いも長いのよ?

幸大の性格だって知ってるわよ。

それに、ラブレターを断った時、舌打ちされたわ。

明らかに、好きになったって感じじゃないってわかったわ。」

「…まったく。

人が手放そうと思ってんのに、何で思い通りになってくれねぇんだ?」

「幸大に選択権はないんでしょ?

そう言ったわよね、プールで。」

「そうなんですか?」


「…ったく、

好きにしろ。」


「当然、好きにさせてもらうわ。」

「私も、ラブレターのこと断ってきます!」


二月姉妹が去っていく。
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