魔法学園ユートピア
職員室

「岡田先生、石動さんの件…」

「石動は実家に帰るそうです。」

「そんな、」

「まぁ、幸大君も帰ることに賛成したのよね?」

学園長が言う。

「本当に!?」

狭山が詰め寄る。

「まぁ。」

「何でですか!?」

「まぁ、アレです。」

「アレ?」

「ドンムーブってやつです。」

「動くな、ってことですよね?」

「そうです。

まぁ、そーゆーわけなんで。」

幸大が職員室を出る。


「…。」

「狭山先生も悩み事?」

「…はい。」

「教えてくれる?」

「言いにくいんですが、実は…とある私立の学校からスカウトされました。」

「そうなの?」

「給料もこの学園の倍出すし、今よりも高い地位をくれる、と言われました。」

「…。

動きが早いわね。

それで、狭山先生はどうするの?」


「私は辞めたくないんです。

でも、こんなに良い話を断ることも、踏ん切りがつかなくて。


岡田先生に相談したかったんですが、」

「…。

今の幸大君は間違いなく、貴女がこの学園を辞めることを勧めるわ。」


「そうですよね。

何かあったんですか?」


「そうね、貴女はこのプリントやって。」

問題用紙を渡す。

「これ、何の問題なんですか?」

「良いから。

今日中よ?」

「…わかりました。」

狭山はさっそくプリントに取りかかる。
< 88 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop