マイ・シュガーランド




「なっちゃん。
いつまでもそのままでいて。
純粋なままで。」



「・・え?」



「オーラっていうか、気配を消すのは得意。
存在を消すっていうのかな?
昔から・・得意。」




それは・・やっぱり育ってきた家庭環境のせい、なのかな…?


って聞きそうになったけれど…


“気付かないフリをするのも大事”


そう柘植さんに言われたことを思い出し、言い留めた。





「帽子なくてもバレないから楽だけどね。」


笑いながらわたしの頭をよしよしする。




―――柘植さんは…


もしかして寂しいことや悲しいことを思い出すとき、誰かに触れたくなるのかな・・?





しばらく頭を撫でられたあと、柘植さんは満足そうにわたしの顔を見つめる。





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