マイ・シュガーランド
そうこうしているうちに準備が終わり、玄関へバタバタ急ぐ柘植さん。
靴を履きながらわたしをチラッと見る。
「・・・なんですか?」
「昨日、マネージャーに話したら反対された。
ケドまぁ大丈夫だから。今度、紹介する。」
「…は、はい・・」
「…あと、お節介かもだけど・・
実家に…連絡は、したの?」
「―――連絡は…してないです。
…したくないです。」
「そう。わかった。
じゃ、いってくるね。」
「いってらっしゃい。」
笑顔で柘植さんを見送ると、わたしは小さく溜め息をついた。
実は、東京にきてから数日たった頃、1度だけ実家に連絡をした。
しかし、電話に出た母親が、わたしだとわかると罵倒し、横にいた父親も受話器を奪い取り同じように罵倒した。