マイ・シュガーランド



状況が理解できず硬直したままのわたしの身体を、柘植さんは優しく抱き締めた。




温かい。


柘植さんの腕の中はとても温かかった。



柘植さんの腕に少し力が入り、頬が胸にぴったりとくっつく。




甘い、甘い香り。



柘植さんは砂糖菓子のような、甘い香りがした。








「・・ありがとう…」


消えてしまいそうな声で、柘植さんは呟いた。




なにに対してのありがとうか良くわからなかったけれど、少しだけでも柘植さんの役に立てたのかもしれない、と嬉しくなった。



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