白銀の翼~白銀の彫刻と金の瞳の乙女~
リセラは誰かに名を呼ばれた

気がした。

「あれ?」

「どうしたの」

「ううん…誰かに名を呼ばれ

た気が…」

ぱらぱらと上から落ちてくる

木の葉の多さに不審を思った

セリラは上をふと見上げた。

とたん

「うわぁっ!」

叫び声というかうめき声とい

うのか、そんな声と共に何か

が落ちてきた。

「いててて…」

目の前の地面に転がっている

物を見下ろしながらリセラは

ため息をついた。

「またやっているの?タラン

。今度は何がしたかったの」

そう呼ばれたのはリセラと同

じぐらいの少年だった。まと

まっているのは肩巻き一枚と

首に緩く巻いている布だけ。

少し長めの白銀の髪を後ろで

束ね。空と同じ色の瞳は今は

意地っぽく笑っていた。これ

でもタランは村一番の美少年

だった。
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