私のメガネくん 短編
「な…何でもないです…」
私は心配させたくなくて無理やり笑顔を作った。
上手く笑えてるかな?
羅威くんはやっぱり心配性だ…。
「あかり、家着いたけど…」
えっ?
顔を上げると私の家の前だった。
ウソッ!!
だってまだちょっとしか話してないんだよ!?
もうちょっと一緒にいたいけど…。しょうがないよね。
「送ってくれてありがとうございました。」
「ん。じゃーな」
やっぱりもうちょっと一緒にいたかったな…。
羅威くんの後ろ姿を見ながら、私は立ちすくんでいた。
どうして…。
どうして言えないんだろう…。
たった6文字なのに。
見えなくなった羅威くんの後ろ姿…。なんだか泣き出しそうになった。
目に涙がたまる。
泣かないように我慢すればするほど、涙は私の頬をつたっていく。
不安がつのる。
だって私には、羅威くんをつなぎとめるものはないもん。
さっきまで、一緒にいたいだけだったのに…。