サクラ誘惑
すると、満足したのかさとるは悪魔の顔から先生の顔になり、補習が始まった。
「√の計算式は…」
すぐ近くにいるさとるの顔にドキドキしっぱなしで。
それよりも…
この唇と私、キスしちゃったんだ…。
なんてさとるの唇から目が離せなくなったり。
「なんだ?」
「えっいや!別に」
慌てて問題に目を向ける。
さとるの声を聞くたびに胸がドキドキ鳴って。
「今日はここまでな。また明日」
また明日って言葉が、明日も会えるんだと思えるから、嬉しくて。
「また明日」
笑顔でそう言って準備室を出た私は、なんだか寂しい気持ちになってしまった。
…もう少しだけさとるといたかったよ。