夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
ニヘッとだらしなくにやけて顔を近づけてきた健吾。


へらへらして、何を言い出すのかと思えば。


なんだ、そのことか。


な、だべ、なっ、と健吾が顔を近づけてくる。


「正直に白状せって」


健吾は背も高いし、顔も悪くないし、この通り明るい性格で密かに女子から人気がある。


何度か告白されたらしいし、けっこうモテる。


が、しかし。


「もったいぶんなって。お前は完全に包囲されている! 吐け、吉田翠!」


本当に、やかましい男だ。


「顔、近過ぎるんじゃ、ボケナスパンジロー」


あたしは左手で健吾の顔面を鷲掴みした。


「べふっ」


慌てて、健吾があたしの手を振りほどく。


「てめ、何すんだ」


ああ。


ああ、やかましい。


いつも静かで優しくて穏やかで、温厚な補欠とは偉い違いだ。


あたしは椅子にもたれてだらしなく足を伸ばした。


「好き!」


「……あ?」


ぽかんと口を開けた健吾に、あたしは睨みをきかせた。


「だから、まじで好き! 補欠のこと、大好き」


さらっと答えたあたしをギョッとした顔で見つめて、健吾は銅像のようにカチカチに固まった。


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