夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
健吾がぱっと笑顔になった。


「あはあ! なるほど! なんのなんの」


最初は険悪ムードたっぷりでも、うちらはすぐにこうなってしまう。


本当に敵か味方かよくわからない、微妙な関係に見えるかもしれないけど。


たぶん、健吾は、あたしの味方になってくれる数少ない男なんだと思う。


「よう、翠」


健吾が大きな目をギラリと輝かせて、補欠のスポーツバッグを見つめた。


「今度さ、見に来いよ。野球部の練習」


あたしも、そのスポーツバッグを見つめた。


「えー。だって、あたし、野球のルール分かんねえもん」


蛍光灯の光が反射して、エナメルブラックがつやつや輝いていた。


健吾が机に頬杖をつく。


「ルールなんか、そのうち分かるようになるって。それよかさ、めちゃくちゃかっけえぞ!」


「なにが?」


「ボール投げる時の、響也」


男のくせに、男の話をしながら、健吾は興奮気味に話し始めた。


利き手とは逆の、左腕をひとつブンと振り下ろしながら。


「獲物を狙う動物みたいな鋭い目えしてさ。別人なんだぜ。マウンドに立つとさ。好きなんだべ、響也のこと」



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