夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
だから、健吾はあたしの敵なんかじゃない。


なんだかんだと言い争ってばかりだけど。


健吾も、補欠と同じくらいいいやつだ。


めちゃくちゃ、いいやつだと思う。


「まあ、響也はあの通りポーカーフェイスだから」


椅子に座り直して、健吾は続けた。


「このおれでも、あいつの心を読むのは難しいからな。何とも言えないけどよ」


コホッ、なんてわざとらしく咳払いをして、健吾はにっこり笑った。


「いちクラスメイトとして、お前の幸運を祈ってやろうとも。翠よ」


ほらな。


ほら、みろ。


「まじか。健吾って、顔に似合わずいいやつだな」


あたしがニッと笑ってみせると、健吾も屈託のない顔でやかましく笑った。


「響也は鈍感だからな。もっと体当たりで挑めや」


ほら。


やっぱり、健吾はいいやつだ。


イラつくけど、絶対に憎めないやつだ。


「Merci Beaucoup! (ありがとう)」


「めるしー? ぼく? なにそれ」


キョトンと、健吾が首を傾げた。


「フランス語でありがとうって意味だ。すっとこどっこい」



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