夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「先生に向かってニベスケとはなんだ」


とムッとしたあと、にべちゃんはひそひそとあたしの耳元に囁いた。


「お待ちかねの夏井だぞー」


「待ってました!」


ガタリと椅子を立ったその時、


「健吾、悪い。すげえ道混んでてさ」


と申し訳なさそうに左手にスーパーのレジ袋を3つもぶら下げて、補欠が入って来た。


大玉のキャベツがぎちぎちに入っていた。


「補欠! おつー」


よっ、と左手を上げると、補欠はそっけなく「うん」と頷いた。


相変わらずの、無表情で。


本当に言葉数が足りない普段無口なそういうとこ。


父にそっくりだ。


「ふたりとも、ごめんね。お待たせ。すっかり暗くなっちゃったね」


と疲れきった様子で入って来たのは、アイドルオーラ全開のあっこだった。


今日もぱっつん前髪にツインテールが激しく似合っている。


「あっこ、おつー」


あたしが手を上げると、あこは意味深ににんまりして、なぜか補欠の背中をじっと見つめた。


「にべちゃん、これ」


補欠がキャベツ入りのレジ袋をガサガサ揺らすと、にべちゃんが教卓横のダンボールを指差した。



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