夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
政権交代で世の中が騒ぐくらい、あたしにとっては革命的な大事件だ。


大好きな板チョコを、大大大好きな補欠から貰ってしまった。


大変だ。


申し訳ないが、あまりにももったいなくて食えないかもしれない。


「ありがと! 補欠!」


勢い良く顔を上げると、補欠はそっけなく「うん」と頷いて、そっけなく目を反らした。


やっぱり、無表情だった。


「じゃ」


とスポーツバッグを背負い直して、補欠と健吾は一緒に教室を出て行った。


「あーっ!」


待って待って、とあたしは慌てて追いかけて教室を飛び出した。


「補欠!」


暗い廊下で立ち止まり、補欠が振り向いた。


「……何?」


「これ」


あたしは板チョコを持つ左手をブンブン、左右に豪快に振った。


「チョコ、ありがと! また明日な!」


ズボンのポケットに両手を突っ込んで、補欠がぱちくりとまばたきをした。


そんな補欠の真後ろで、健吾が意味深な笑みをこぼして、クククと笑いをこらえる。


「ああ、うん。また明日」


微かに、本当に微かに笑って、補欠は健吾と一緒に暗い廊下の向こうへ消えて行った。


危なかった。


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