夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
もう少しで、叫ぶところだった。


補欠に好きだーって叫びたくなった。


ドキドキする心臓を抑えていると、後ろから背中をポンと押された。


振り向くと、あっこが可愛い顔を崩してニタニタしていた。


「良かったね、翠ちゃん」


「へ?」


「それ」


とあっこが真っ赤な包装紙の板チョコを指差した。


「あはー! 貰ってしまった。もったいなくて食えーん!」


プハハ、とあっこがキャピキャピして笑う。


お決まりのツインテールをたわわに揺らしながら。


「安売りしてたわけじゃないのに。それ」


「え?」


フフフ、ハハハ、とあっこは本格的に笑い出してしまった。


本格的に降り出した雨のように。


可愛らしい笑い声が、暗い廊下にじんわりとなじむ。


「なんだなんだ、どうしたってんだ」


頭のネジが一本外れてしまったかのように笑い続けるあっこを、あたしは呆然と見つめていた。


先に口を開いたのは、あっこだった。


「私、今日ね、少し分かったような気がするの」


「何を」


「翠ちゃんが夏井くんを好きな理由」



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