夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「えー? あっこに分かっかなあ」


ヘヘンと笑い飛ばすと、


「あ、今、バカにしてるでしょ。私、こう見えても結構するどいのよ」


とあっこがほっぺたをぷくうと膨らませた。


焼きたての餅みたいだ。


「だってね、夏井くんたらね」


「……え」


一体全体、この底なし沼はどこまで深いのだろう。


どこまで落ちれば、底にたどり着けるのか。


あ。


底なしだから、底なんか無いのか。


じゃあ、あたしは、一生落ち続けなければならない。


そういうことなんだな。


困ったものだ。


この恋は底なしだ。


夜、そんなことを考えながら明かりを消して、あたしはベッドに潜り込んだ。


暗い部屋に、豆電球の明かりだけがぼんやりと灯っている。


なんかもう、幸せいっぱいで。


心がくすぐったくて。


補欠のことが好き過ぎて、どうにもならないということに気付いた。


「チョコレート、チョコレート! 補欠がくれたチョコレート!」


チョコレート、チョコレート、と呪文のように唱えながら、あたしはベッドの中から出窓の外を見つめた。


乳白色の月が、優しい色で夜空に滲んでいた。


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