夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
真っ赤な包装紙の板チョコ。


枕元に板チョコを置いて眠ることにした。


「もったいなくて、食えたもんじゃねえやい」


目を閉じると、帰り際の教室でのあっことの会話がフラッシュバックした。


次々に、会話が耳の奥で蘇った。


「夏井くんたらね、スーパーに着くなり、私たちとはぐれちゃって。探したら、お菓子コーナーに居たのよ」


―ちょっと、夏井くん! 野菜売り場はあっちだよ


―うん。知ってるけど……チョコ。買うから


「ほら、夏井くんて口数少ないじゃない? 最初、意味がさっぱり分からなくて」


―チョコ? お好み焼きに入れるの?


―違う。翠に……買う


―翠ちゃんに?


―うん


―頼まれたの?


―違う


「それでね、迷わずにその板チョコを手にしたの。夏井くん」


―待っててくれてるだろうから


―え?


―腹すかせて、待ってると思うから


「だったらパンとかおにぎりにすれば、って私言ったんだよ。でもね」


―いや。チョコ


―チョコじゃお腹いっぱいにならないと思うけど


―翠はいつもチョコ食ってる。おれの後ろで


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