夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
ダアン!


飛び散るキャベツの破片。


ギャーと爆笑する結衣と明里以外はギョギョッとして固まっている。


料理だの、裁縫だの、一番苦手で嫌いだ。


「ちくしょう! 台無しじゃ」


ふうとため息を吐き出して、あたしは爪を見つめた。


昨日の夜、何時間かかったと思ってんだい。


大好きなお笑い番組は録画で我慢して、2時間も費やしたのに。


白いマニキュアに、ピンク色の小花を描いた力作だ。


かなり気合いを入れてやったのに。


「そんなに気にするなら、ネイルなんかしなきゃ良かったべ」


あったまわりーな、と結衣が笑い飛ばす。


この、赤毛のアンめ。


「お好み焼き屋なんだから、こうなることくらい予想しとけよ」


うわ、こっちにまでキャベツが飛んでる、と地面を指差して明里が笑った。


だって、しょうがないじゃないか。


昨日は補欠から板チョコを貰って、舞い上がってテンションマックス翠だったし。


それに、今日は何かいいことがありそうな気がして。


だって、今日は特別な日だから。


「フン……うっせい」


あたしは無意識のうちに、左耳のピアスに触れていた。



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