夏の空を仰ぐ花
「何! あのタッキー似の男か?」


あたしが言うと、やめろよー、と明里が口を尖らせた。


「似てねえよ、全然。てか、そんなできた男じゃねえし。部屋とか汚えし。だらしねえし」


明里の彼氏は1DKのアパートで一人暮らしをしているらしい。


夏休みはしょっちゅう会っていたらしいが、最近はお互いの時間が合わなくて、なかなか会えずじまいらしい。


「それよか、翠はどうなんだよ」


明里があたしに話を振ってくる。


「何がさ」


「何って、夏井とだよ。あいつ野球部だから、全然遊べねえじゃん」


プッ、とバカにしたように明里が吹き出す。


「だよなあ。いいのかよ、デートもできねえ男なんかが彼氏で」


ブハハ、と結衣まであからさまに吹き出した。


あたしは、キラキラ反射する水面を見つめて、笑った。


「いいんだよ。遊べなくても、補欠がいいんじゃ」


「「ほう」」


「補欠以外の男なんぞ、興味ねえわい」


「げー! キモーッ」


べえっと舌を出す結衣。


「はっ。だめだなこりゃ。完全に色ボケだ」



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