夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
思い込みや決め付けってのはいけないものだ、と改心させられた。


男の部屋ってのはごちゃごちゃしていて、小汚い空間だとばかり思っていた。


「おお……あたしの部屋よかきれいだな」


生まれて初めて入った男の部屋は、どこもかしこもきれいに整頓されていて、物も最小限にまとめられスッキリしていた。


オフオワイト色の壁紙。


ディープブルー色のカーテン。


黒のベッドに、ダークブラウン色の勉強机と本棚。


淡い灰色のカーペット。


「補欠の部屋、きれいだな!」


「はあ? きれいって。じゃあ翠の部屋って、どんだけ汚いんだよ」


呆れ顔で、補欠はふたり掛けの大きさのソファーに座った。


「汚いわけじゃない! ただ、物があり過ぎるだけだ」


「それ、汚いんじゃ」


「違わい! 女は物が多いもんなんだぞ」


「……へえ」


本棚にはおびただしい冊数の雑誌がからりと並んでいた。


補欠の愛読書、ベースボールマガジンだった。


ここは図書館か。


「つうか、あれだ。あたしの部屋は夢のワンダーランドだ。というか、遊園地。ネバーランドみたいな!」


ごちゃごちゃしているが、全部大切な物ばかりで、捨てたくても捨てられない物だらけだ。


「だから、それは汚ってことだろ。結局」


ぐーっと伸びをして、補欠が大きなあくびをした。


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