夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
あたしの場合、面倒に面倒を重ねた場所にできてしまったらしい。


血管と血管、神経が入り組んだ面倒なところに。


「ですから、もし大きくならないのであれば、逆に手術はしない方がいい場合もありますから」


「じゃあ、手術要らないじゃん!」


あたしはテーブルをバンと叩いて、笑った。


つられたように、長谷部先生も笑う。


「うーん。でも、若いから取ってしまった方がいいと思うんだ。だから、一度詳しい検査を」


「えーっ……めんどくせー!」


「とにかく、風邪が治ったら検査させてくれないかな」


ということで、その説明は終わった。


お礼を言ってカンファレンス室を出ようとしたあたしに、長谷部先生は親しげに聞いてきた。


「翠さんは、高校生だってね」


「うん。そうだけど」


「どこの高校?」


あたしはちょっと得意気に言った。


「南高! 南高校!」


南校はこの辺じゃ、ちょっとばかし有名だ。


えっ、と長谷部先生が食いついてきた。


「南高校? 偶然だなあ! 世間は狭いって言うけど、本当だね」



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