夏の空を仰ぐ花
「Thank you!」


大丈夫だ。


きっと、大丈夫さ。


だって、あたしは父と母の最高級の遺伝子を欲張って生まれた、ミラクル翠なのだ。


その日の夜、久しぶりに彼女からメールが届いた。


「ぬ……ほおおお! ミラクル!」






2/21 22:02
From 作佐部 愛子
Sub 久しぶり
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翠ちゃん、元気ですか?
私は元気です。
北海道は大雪で寒いです。
でも、星がきれいです。
今夜の星空が特別きれいに輝いていたので、翠ちゃんを思い出しました。
そっちはどうですか?
星、出てる?
みんなに会いたいです。





「あっこ……」


あたしはベッドから飛び出して、窓辺に向かいカーテンをシャッと開いた。


濃ゆい、藍色の夜空。


「うーん。残念賞」


満ち欠けの、明るいお月様。


でも、今夜は星も眠っているようで、静かな静かな透き通った冬の夜空が広がっていた。


星が眠っているように、今頃、補欠も夢の中かもな。


急に会いたくなった。


「いかんな。情緒不安定」


泣きそうになった。


あたしは大きく深呼吸した、


早く、明日が来るといいのにと思う。


一刻も早く、補欠に会いたくなった。


不安だ。


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