夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
その時、キイロい声を出して病室に入って来たのは、あたしの担当看護師の鈴木爽子(すずき さわこ)さんだった。
「ちょっとちょっと!」
通称、鈴木っち。
「ちょっと、ねえねえ! 翠ちゃんてば!」
「む……何事か。いい歳してキャピキャピすんな。何かいい事でもあったのか?」
補欠の真似をしてクールな態度をとってみた。
「何よ、今日はノリ悪いのねえ」
鈴木っちは、もうっ、なんておばちゃんみたいに、あたしの肩をベシッとひと叩きした。
「何で隠してたのよう! 教えてくれたら良かったじゃない」
彼女はまだ20代半ばで、小柄美人だ。
「はあ? あたしが何を隠したってんだい」
「えーっ! 嘘だあ! 隠してたくせにー」
そう言って笑う彼女は、頬をほんのりと桃色に染めて、やや興奮気味に言った。
「前々から、ナースの間じゃ話題だったのよ。翠ちゃんの彼氏、野球部だねって」
「ほう、そうか。まあ、あの頭にスポーツバッグ見りゃ、誰でも分かるけどな」
コクコクと、鈴木っちが頷く。
「でも、まっさかね。まさか、南高のエースだったなんて!」
「ああ。見たのか、背番号」
「うん。さっきね」
「そっか。今日から、地区大会だかんな」
「ステキー! 彼氏がエースだなんて!」
ステキー! 、もう一度キイロい声を出した年上の彼女を、あたしは笑わずにはいれなかった。
爽やか美人で、普段は大人っぽくて冷静なくせに。
「じゃあさ、 じゃあさ、こういうの言ったり言われたりしたの?」
「どんなのさ」
「私を甲子園に連れてってー、とか。おれが甲子園に連れてってやるぜー、とか!」
鈴木っち……案外、ミーハーだったんだな。
「ぷ……まあ、ベタだけど。それに近い事はあったかもな」
「ちょっとちょっと!」
通称、鈴木っち。
「ちょっと、ねえねえ! 翠ちゃんてば!」
「む……何事か。いい歳してキャピキャピすんな。何かいい事でもあったのか?」
補欠の真似をしてクールな態度をとってみた。
「何よ、今日はノリ悪いのねえ」
鈴木っちは、もうっ、なんておばちゃんみたいに、あたしの肩をベシッとひと叩きした。
「何で隠してたのよう! 教えてくれたら良かったじゃない」
彼女はまだ20代半ばで、小柄美人だ。
「はあ? あたしが何を隠したってんだい」
「えーっ! 嘘だあ! 隠してたくせにー」
そう言って笑う彼女は、頬をほんのりと桃色に染めて、やや興奮気味に言った。
「前々から、ナースの間じゃ話題だったのよ。翠ちゃんの彼氏、野球部だねって」
「ほう、そうか。まあ、あの頭にスポーツバッグ見りゃ、誰でも分かるけどな」
コクコクと、鈴木っちが頷く。
「でも、まっさかね。まさか、南高のエースだったなんて!」
「ああ。見たのか、背番号」
「うん。さっきね」
「そっか。今日から、地区大会だかんな」
「ステキー! 彼氏がエースだなんて!」
ステキー! 、もう一度キイロい声を出した年上の彼女を、あたしは笑わずにはいれなかった。
爽やか美人で、普段は大人っぽくて冷静なくせに。
「じゃあさ、 じゃあさ、こういうの言ったり言われたりしたの?」
「どんなのさ」
「私を甲子園に連れてってー、とか。おれが甲子園に連れてってやるぜー、とか!」
鈴木っち……案外、ミーハーだったんだな。
「ぷ……まあ、ベタだけど。それに近い事はあったかもな」