夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
勉強机の上の写真立て。
地方大会で優勝したあとの集合写真だった。
南高野球部が眩しい笑顔で写っていた。
あたしは風を切り開くように窓辺に向かった。
「わお! うつくしやー」
窓から身を乗り出したとたんに、ハアと息が漏れた。
窓の外は煌びやかだった。
道路を挟んだ向こうに小川が流れていて、その水面に西日が細かく細かく反射していた。
輝く水面に映る、晩夏の雲。
びゅうっと風が入って来ると、香ばしいお日様の匂いがした。
「……あっ」
入って来た風に押されて、真紅の縫い目がほつれたボールがコロコロと転がり落ちそうになった。
「危ねえい! ったく、気を付けろよな」
ちっ、と舌打ちをしてボールを元の位置に戻した。
「ん?」
その時、グローブの陰に透明なあプラスティックの入れ物が視界に入って来て、
「……なんだね、キミは」
手に取った。
「おお! キミは!」
それを手のひらにちょこんと乗せて、西日にかざした。
濃い焦げ茶色の土が光を吸収して、プラスティックケースの中で輝いた。
甲子園の土だ。
見つめていると、この土の向こう側にあの日のワンシーンが鮮明に蘇り、胸がいっぱいになった。
「本当に、行っちゃったんだよなあ……」
あの清く晴れ渡った日、あたしは兵庫県の青空の下に居た。
甲子園球場。
そこは、県立球場とは比べものにならない竜宮城のような場所だった。
地方大会で優勝したあとの集合写真だった。
南高野球部が眩しい笑顔で写っていた。
あたしは風を切り開くように窓辺に向かった。
「わお! うつくしやー」
窓から身を乗り出したとたんに、ハアと息が漏れた。
窓の外は煌びやかだった。
道路を挟んだ向こうに小川が流れていて、その水面に西日が細かく細かく反射していた。
輝く水面に映る、晩夏の雲。
びゅうっと風が入って来ると、香ばしいお日様の匂いがした。
「……あっ」
入って来た風に押されて、真紅の縫い目がほつれたボールがコロコロと転がり落ちそうになった。
「危ねえい! ったく、気を付けろよな」
ちっ、と舌打ちをしてボールを元の位置に戻した。
「ん?」
その時、グローブの陰に透明なあプラスティックの入れ物が視界に入って来て、
「……なんだね、キミは」
手に取った。
「おお! キミは!」
それを手のひらにちょこんと乗せて、西日にかざした。
濃い焦げ茶色の土が光を吸収して、プラスティックケースの中で輝いた。
甲子園の土だ。
見つめていると、この土の向こう側にあの日のワンシーンが鮮明に蘇り、胸がいっぱいになった。
「本当に、行っちゃったんだよなあ……」
あの清く晴れ渡った日、あたしは兵庫県の青空の下に居た。
甲子園球場。
そこは、県立球場とは比べものにならない竜宮城のような場所だった。