クローバー



お前、わざと避けなかったんだな…



俺に打順を回すために



一希がタンカーで運ばれていく


一希…



俺はお前の期待に答えられないよ…



小さくなっていく一希の姿を見つめていた



一希の治療のためにしばらく中止になった



ベンチに帰ってもどんな風にバッターボックスにはいればいいか分からない



俺の脳裏には「負」のコトバがあった



「果梨先輩、電話です」



「こんな時に誰だよ…」



「病院からだそうで…」



俺はそのコトバに体が強張った



差し出された受話器を恐る恐る耳を充てた



「はい…」






< 272 / 291 >

この作品をシェア

pagetop