クローバー
「僕は神様ではありません。人の生死をはっきり告げることはできません…」
尾崎の顔が曇る
「でも、僕は病気という現実を突きつけられても、尚、笑って僕にVサインをした人を初めて拝見しました。」
看護師の水野も昨日の病室での出来事を思い出し、ふっと笑みがこぼれた
「僕は思うんです。あの子ならきっと運命にも逆らえるのではないかと…。医師としての言葉とは思えないのですが」
2人は無言のまま白草茜のカルテを眺めていた
「先生…」
「なんだい?」
水野が口を開いた
「雨…降ってきましたね」
「あぁ…そうですね」