黒猫劇場
 リグは金色の髪の、それでいて短い髪をカールしたような髪型をしている。その上に真っ赤な帽子を乗せていた。
 赤と黒の縞のタイツと黒いブーツが印象的だった。
 黒い短い上着からは赤いチェックのスカートがのぞいていた。右手にはしっかりとキャリーバックを握っている。

「リグ、どこか出かけるの?」

 僕はここぞとばかりに話題を変えた。

「ええ、やっと探偵になれるの。今までヴァージナルと一緒にお勉強してきたでしょ。その成果が試されるのよ。今回、ひとりで探偵の大仕事をやり遂げるのが合格の条件なの」

 リグはとてもうれしそうに、声を弾ませて言った。

「探偵の試験みたいなものなのかな」

「そう。ヴァージナルも学校とかヴァイオリン教室でやるでしょ」

 リグはそう言うと、口を結んで軽く微笑みを浮かべた。それを見て僕は、そうだね、とだけ言った。

 同い年くらいの女の子がもう、夢に向かって前進しているというのに、僕は一体何をしているんだろう。
< 11 / 25 >

この作品をシェア

pagetop