黒猫劇場
「これって、」

「仮の名刺。立派に探偵になった訳じゃないけど、仕事するからにはね。蛙にされちゃった時には是非ご依頼くださいませ」

 リグはおどけたような仕草と悪戯っぽい表情で言った。

「ありがとう」

 僕は名刺を受け取り、しばらく眺めていた。リグはそんな僕の様子を満足そうに見つめていたが、構内の時計を見上げると、そろそろ行かなきゃ、と呟いた。

「リグ気をつけてね」
「うん、ありがとう。帰ったら、今度は一緒にどこか行こうね」

 そう言うと、くるんと身体の向きを変えて、僕に背を向けた。そうして、軽い足取りで広場を抜けて走り去って行った。


(第二幕 綺羅星駅/了)
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