スターフィッシュ‼︎

星たちの間に少し太めの三日月が見える。


「来年は夏フェス、STARFISHで遊びにいくか!」

「フェス行ってみたい! ってか野外でライブやるの楽しそう」

「もちろん俺らもいつか出るからな」


心臓の音も通常に戻り、やっといつも通り王子と話ができるようになった。


「王子は本当にバンドに一生懸命だよね」


「まあな。……俺は音楽に助けられた身だから」


んん?


あたしは王子を見た。

缶コーヒー片手にベンチにだらっと座って、星を眺めている。


その表情は少し、憂いを帯びていた。


「どういうこと?」


「……俺、昔から頭も良くて、モテて、運動もできて、絵も音楽もできて、スーパー王子様だったから、嫉妬するしょーもない下賤な輩たちも湧いたんだよ」


おおお、王子は昔っから王子だったんだ。

でもーー

「やからって?」


聞くと、女子にチヤホヤされる分、影で男子から殴られたり、物を隠されたり、無視された時期があるらしい。
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