スターフィッシュ‼︎
「違う! あたしと王子はそういうのじゃないから!」
「あたしの協力してくれるって言いましたよね?」
表情が無い顔で、棒読みのような話し方。
『せっかく貴也様に近づくことができたのに……邪魔すんじゃねーよ……』
あの時と同じ声。
あたしは、すぐ横にある洗面台に手をかけながら、その迫力に思わず後ずさりをしていた。
電気をつけていないため、この空間を照らすのは奥に設置されている小さい窓からの明かりのみ。
壁に掛けられている鏡に、
あたしの金髪が弱々しく光っている様が見えた。
その時、
カナタちゃんの手元から、プラスチックがこすれ合う音が聞こえ、
鏡にもう一つ、キラッ、と光が反射した。
「……っ!?」
その一瞬の光の正体に気づいたあたしは、恐怖を感じた。
カナタちゃんの右手には、3センチほど刃が露わになった、
カッターナイフ――。