スターフィッシュ‼︎


「あーマジ楽しみ! 初野外だし早くぶっ飛ばしてぇ~」

「確かに野外でのライブって楽しそう! あ、あたしトイレ行ってから戻るね」


昼休みが終わる頃。

教室に入る前にあたしはゆーたと別れ、1人になった。


急いで、後ろを振り向き廊下の先を見る。

すると、見覚えのある黒いロングヘアの女子生徒が、慌てた様子でロッカーの影に姿を隠した。


やっぱり、カナタちゃんだ。


あたしは、その方向にダッシュした。

同時に、カナタちゃんもあたしから逃げるように、奥の階段に向かって走っていった。



「カナタちゃん、待って!」


あたしが声を廊下に響かせると、その白くて細い脚の動きは止まる。


「…………」


風をまとった黒髪がふわりと半円を描く。

カナタちゃんは振り返り、あたしを見てくれた。


ピンクの唇は開くことはなく、直線のまま。

切りそろえられた前髪の奥に見えたのは、どこかおびえたような目だった。
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