スターフィッシュ‼︎

「はぁ、はぁ。いきなりごめんね」


ようやく、あたしはその姿に追いついた。


「…………」


「よかったら、明日……来ない?」


あたしはカナタちゃんに明日の招待チケットを一枚、差し出した。


ちなみに招待チケットが無くても、一般チケットを1000円で買えば会場には入れる。

だけど、渡しておきたかった。

最後の1枚を。



昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。


やばい、そろそろ先生が来ちゃう。


窓からの風によって、あたしが手にしたままのチケットは、波を打つように揺れていた。


「おい、授業始まるぞー」


階段を上ってきた先生が、あたしたちに声をかけた。


「……っ!」


眉間に皺をよせながら、カナタちゃんはあたしの手から、そのチケットを奪い取った。

そして、階段を走って下り、1年生の教室方面へ向かっていった。


……一応、受け取ってくれた、のかな?
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