スターフィッシュ‼︎

フェス!




「美緒ー! 頑張ってね~!」

「うわー、人いっぱいで凄いね! なぜかあたしが緊張するよ~」


1バンド目の演奏がスタートしている中、お客さんのエリアをぶらぶらしていると、

リナとユイの姿を見つけることができた。


「リナー、あ、ユイも。ありがとうー! 楽しみにしててね」


いつも応援してくれている友達と会えると、安心するなぁ。

と、思っていたら、

見覚えのあるツンツンした影が足元に見えた。


「美緒ちゃん、俺たちの分も頑張って優勝してねっ」


「お、亮くん。あ、クリントンズみんなで来てくれたんだー! ありがとう!」


「俺らはまた来年チャレンジするし、次こそはここに出れるよう頑張るよ」


相変わらず一切風になびかないその頭を眺めていたら、

その奥にヒラモトさんとエンジニアのカシワギさんの姿が見えた。


若いお客さんが多い中、黒髪+金メッシュ頭のヒラモトさんと、坊主頭のカシワギさんの姿はよく目立つ。


「わーーー! ヒラモトさんー! カシワギさんもご無沙汰してますっ」


「あーいたいた! とうとう本番だねぇ。うちのスタッフも何人か来てるよ!」

「レコーディングに関わったバンドが有名になるのは、やっぱり僕も嬉しいよ~」


ヒラモトさん、カシワギさん――

カシワギさんが録ってくれた音源を、ヒラモトさんが推薦応募してくれたおかげで、ここまで来ることができた。


「絶対優勝してきます!」とあたしが言うと、

2人ともお酒の香りを漂わせながら、頑張れよ! とあたしの肩をバシバシ叩いて応援してくれた。

それから、ライブハウスのスタッフさんたちも、お酒やジュース片手にキャッキャッと励ましてくれた。


みんな、ありがとう!


あたしたちの応援をしてくれて嬉しいのもあるけど、

みんながこの場を楽しんでくれているようで、それも嬉しかった。

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