ババヌキ
けれど、はっきり言って、あたしは、喋りがうまい方ではなかった。向こうから話してきてもらわないと、会話が続かないたちだった。人任せだった。喋る側よりも、聞く側のほうがむいていた。だから、友達も結構、喋り上手な人が多い気がする。実際に、真奈や直さんはしゃべり上手だと思う。あたしは、相談されることも多かった。相談されれば、悪い気はしなかったから、真剣に聞いてあげることもできた。けれど、あたしからは悩みは絶対に話さなかった。話しても、解決には繋がらないから…。友達を頼りにしてないわけではない。けれど、聞く側になって気付いたことだが、結局は自分の問題だから、聞いてもらうだけで満足っていう人はいいのだが、あたしは話すなら解決できればいいのに…と思ってしまって話せない。欲張りなのかもしれない。それに、その相談を聞く方も、結構、辛かったりする場合もあった。こんな思い、他の人にさせるぐらいなら、自分の中で納めたかった。おまけに、あたしにはあまり男友達がいなかった。男気の強いあたしは、男の子から愛される女の子よりは、断然、女の子に愛される女の子だった。その為、ほとんど大半が女友達だった。よっぽど話しかけてきてくれて、気が合わない限り、男の子とは話せなかった。つまり、男の子は苦手だったんだ。だから、もちろん、出会って間もない、彼とあたしは会話が途切れてしまっていた。またしても訪れた静寂に、あたしは結構、慣れていた。結構、こういう場面に会うことがあるから。男の子からしたら、こんなにつまらない女の子はいないと思う。でも、せっかくできた友達だし、大切にはしたかった。だからあたしは、なるべく会話が続くように、話題を考えていた。けど、話題が浮かばない。
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