ババヌキ
こんなとき、話上手の真奈や直さんがいれば、会話が途切れないだろうなぁ。と、ババヌキで勝ってしまったことに、少し後悔した。そして、みんなでコンビニ行ったほうが、彼も楽しかっただろうに…。って、申し訳なく思ってしまった。ごめんね…と、思った瞬間だった。隣にいた彼が、あたしの両肩をつかみ、眼があった。「ギュッとしていい?」と、彼が言った。突然だった。気付いた時には、もうギュッとされていた。あたしはビックリしていた。どうして?というより、なんで?という感じだった。どれだけの静寂が流れたのか、あたしには全然分からなかったし、動けなかった。座っていたのが、椅子ではなくベッドだと、あたしは、この時始めた気が付いた。きゃしゃな彼からは、想像できないような力強さで、抱き締められて、想像つかない肩の広さに、あたしは今、埋まっていた。なによりも、ドキついて(ドキドキ)動けなかった。そして、自分の肩に埋まっていたあたしを助け出すと…「キスしていい?」もう一度、彼と眼があった。あたしは、うなずいてしまった。
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