辻斬り
- 6 -


如何ヶ辻にえみはたどり着く。
そこは灘が話していた、この世とあの世の境目とされる場所。

(みんな生きてるのかな? それとも、死んだのかな?)
思いはするがそれ以上の感傷もない。めぐみやまなみとつるんではいるが、そんなべったりってわけでもない。「リバースエッジ」や「スタンドバイミー」よろしく、触れちゃならないものを見に行く好奇心にいつも晒されていたいだけだ。
ただし、死なないこと前提で。
「他の人たちと、はぐれちゃったね。めぐみもまなみもいない……あのおじいさんや紀伊さんまで」
えみはかばんからポメラニアンのぬいぐるみを取り出して、話しかける。
ひとりになるといつも寂しさを紛らわすために取り出すものだ。
「ねえヘンデル、えみちゃんはどうしましょうね~?」
寂しく呟いた。周りに誰もなく、でも一人でいることには何の苦痛もない。
携帯を取り出し、メールを送る。
圏外の状況下においても送信が出来るスラッシュメールを彼女は色々な人に送りつけていた。
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