辻斬り
「――1年、か」

重みある一言だった。
ここにたどり着くまでの紆余曲折を、おぼろげにうかがえる月に向かって話したいくらいに思えた。疲労だけが肩にのしかかるばかりの日々が続いてきたから、いつかどこかで弱音を吐いてみたいとあこがれたりもした。

でも、これまでそれをどうしても言い出せなかった。

今日こそは、と寝そべって少しだけこれまでを少し振り返ってみる。
何もすることがないとき、いの一番にやろうとして出来なかったことだ。あれから一年たち辛い過去を少しぐらい振り返るぐらいの自信は出来たと思っている。

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