俺と彼女と、ご主人様。【BL】
まだ息の荒い俺の顔を、
彼はまたしても観察している。
「顔赤いですね」
ちょっとにやついていう彼は
やっぱりそういう趣味なのだろうか。
それを明言する前に、
彼の顔が俺の首筋に埋まった。
「ちょ、島津さん!
俺はもふもふしたいんであって
決して、されたい訳では、」
訳では無いんですがっ
ちょっと抵抗しようかなと思ってると
服の中に、彼の手が滑り込んできた。
その手は、俺の体温よりも少し低くて、
舌はこんなに熱いのに、不思議だなとか
そんな感想を持った。
されたい訳では無かったけれど、
………………。
……気持ちいいから、いいか。
「島津さん、髪だけじゃなくて手とかも、
皮膚サラサラしてて気持ちいいですね」
「それはどうも」
「……ひっ…………」
首元で喋られると、
息が当たってくすぐったく、
ちっちゃく悲鳴が漏れた。
そして島津さん、
再び顔を上げてニヤニヤしている。
でも負けないから!
勝ち方解らないけど!
……っていうか勝負じゃないよな。
「……っ、全体的に触り心地よくて
羨ましいで、す……!」
「触られ心地じゃないんですか?」
今は。と、潜り込んだ手を上の方に伸ばしてくる。
「触られる事は、それと同時に、
触っている、という、
そういう事で、つまり……っ!」
「ちょっと静かにしましょうか」
そう言ってまた、唇が塞がれるが
今度はすぐに離れて行って、
また違う場所に当てられた。
「……つまり、俺の鎖骨は今、
島津さんの舌を触っていると、
そういう事で、ですね……?」
「それ、今どうしても
言わなきゃいけないんですか?
そんな訳無いですよね?」
「いえ、触り心地がいいという事をぜひに
すぐにでも、解っていただきたく……」
「解ったから、黙ってろよ」
今度は口を塞がれないけれど、
代わりに繋いでいた手も解放され、
今まで上半身を弄っていた手は
下の方へと降りていった。
……あ、もう負けでいいや。