俺と彼女と、ご主人様。【BL】
相変わらず寒い部屋で、
うっかりと微睡んでいると、
軽やかに風を送る音が聞こえてきた。
「……アンナ?」
目を開けると、しっぽを振って
島津さんに撫でられている
美容室帰りであろう彼女の姿が目に入った
「目が覚めましたか?」
「アンナ!おじゃましているよ!
ああ、今日はリボンをつけて貰ったの?
少女っぽいそういうテイストも
これまた君の神秘性を引き立てるね!
とてもよく似合っているよ!」
「起きた途端やっぱそうなるのかよ!」
苦々しい口調だけれど、
表情はいつになく上機嫌のようだ。
「だって、今朝はすぐに帰りましたし!」
だから今日はふれあいがたりないんだ!
「そういえば、何で今朝は
やたらとよそよそしかったんですか?」
「聞かないでください!」
それを説明する事だけは勘弁願いたい。
まあ、いいですけど。と、
ベッドサイドに座る彼は
片手でアンナを、そしてもう片方の手で
今日は絡んでなどいない、無事な俺の髪を撫でている
………………。
……はっ!
うっかりと、また心地よい世界へと
毛布やなんやの所為でいきそうになった。
再び重い瞼を持ち上げると、
穏やかな表情の2人が見えて、
あ、こういうのも何かいいなーと
そう思ってまた、眠りの淵へと落ちていった。
……悪いのは、このベッドと気温です。
起きたらきっと、俺の好きなものが
すぐに視界に飛び込んでくるんだろうな。
そんな環境、最高じゃないか。
なんだかんだで、俺は幸せです!
【完】
……因みに、島津さんは別に特別
そういう趣味の人じゃありませんでした。
良かった!


