メガネ夫婦

「桜田先生」

今までで一番低い声で彼は呼んだ

それを読んだのか桜田は黙り込んだ

「あのですね、俺、今カノジョがウチ来てるんです」

「え、あ、カノジョ…?」

「恋人です」

彼はきっぱりと言い張る

「今どういう状況だか、わかっていただけますか」

桜田は少し間をあけると
みるみるうちに顔を真っ赤にした

「ぼ 僕、帰ります!!」

「そうしてください」

彼はそれだけ言うと
ブチリと回線を切った



「藤宮…どこにいるんだよ」

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