人魚姫の嘘


お城の中に入ると
我にかえった


…いつの間に私、ここへ…


「奥様!」


聞き慣れない男性の声
私はとっさに太い柱に隠れた


奥様、と呼ばれたのは
私ではなく


そう


「どうしたの?」


彼女…サラだった


「見つかりました。
彼処が」


「ホントに!?
あ…それとまだ結婚してないん
だから、奥様って呼ばないで」


「申し訳ありません
では、此方へどうぞ」


男性のしゃべり方から
すると、多分
彼は召し使いだと思われる


なぜこんなにも
小さな声で2人は喋っているんだろう


コソコソと
何かから隠れているように



2人は長い廊下へ向かった



……気になった



…これは…
ちょっとした
好奇心



私は2人を追いかけて
そっとついて行った




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