シニユカバ・スーパーソニック
おおっぴらに話す事じゃない。まるで信じてもらえないピカイチは晩秋の寒さにも負けて寂しくなり、やけくそ気味に電話を切っていた。
訪れ行く冬の夜空がひときわ暗く感じるのはおそらく、肌寒い空気に気持ちが気圧されてしまっているからだろう。
誰かいればそれなりに暖かく感じるのだけど、今のピカイチたちにとってそれは余計なものでしかなく、見つからないようにと願う切迫感が妙な汗をかかせ、気持ちをどこまでも焦らせる。
とにかく、ひとまずでいいから、安心という暖かい安らぎが早く欲しかった。
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